阪神 3―1 中日 (9月18日・ナゴヤD) 

屈辱のバント…魔さかの失敗!片岡

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

5年契約でも猶予はあと1年

 近鉄の中村が今オフにFA宣言することを明らかにした。東の松井、西の中村。大変なオフになる。

 これだけの選手を獲得するには、ばく大な資金が必要になってくる。深刻な不況下、名乗りを上げる球団も限定されてくる。阪神は獲得を目指せるチームのひとつ。すでにオーナーから補強に対する支援を取り付けている。

 だが、これまで阪神はFAでの補強に成功した経験がない。山沖、石嶺、星野伸に、今年は片岡もその仲間に入った。それなりの条件を出しても獲得しなければならない選手だったのか。もっと条件的に見直せるものではなかったのか。調査してきた球団編成部門に問題がある。

 あくまで推定だが、片岡と交わした契約は5年12億円という高条件だ。すなわち、どんな成績であろうとも5年間に総額12億円を片岡は払ってもらえることになっている。これがどうも納得いかない。この条件でないと、片岡を口説くことができなかったのか。昨年、同時期に獲得を目指した田口には推定で3年8億円で交渉している。3年と5年、8億と12億の差は大きいし、片岡が仮に3年8億円で契約していたら、いまほど不満の声は出ていなかっただろう。

 この夜、9連戦の最後となった。4回表、1、2番が築いた無死一、二塁の場面。打席に向かう片岡に、ベンチが指示したのはバントだった。1年平均2億4000万円の金をもらう選手がバントを命じられ、その結果が送ることもできない投手へのフライ。ベンチに戻り、一番端に腰を落とし、何度か首を振っていた。

 一番苦しいのは片岡自身だろう。直後にアリアスの3ランが出て救われたが、あの場面でバントしなければならない自分に腹が立つ。その後、2安打を放ったが、気が紛れるものでもない。「なぜあそこでバントなのか。それを本人にわかってほしい。状態がよかったら打たすでしょうし」と試合後、和田コーチは言った。ホテルに戻り、気持ちのケアとともに、バント失敗を指摘するとも語った。もう星野監督もある種、見切ったところも見える。契約は長期でも、片岡の猶予はあと1年。来年、確実に答えを出すしかない。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月19日付紙面掲載


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