阪神 4―5 巨人 (9月14日・東京D) 

1軍を脅かす存在がいない

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

巨人との層の厚み歴然

 まるで引き立て役ではないか。延長戦までもっていったのも、巨人の劇的度を増すだけの演出。そんな余計なことまで感じるむごい敗戦だった。

 上ずった川中のうれしそうな声を背に、星野監督は口を真一文字にしてベンチから出てきた。試合中、何度も怒鳴り、鼓舞し続けたが、終わってみればこの結末。敗因はある。だが根の部分ではやはり、選手層、戦力の違いにたどりつく。

 以前、中日山田監督が「今年の巨人の強さは、チーム力が低下した時に、斉藤とか川中とかの新しい戦力が出てきたところが一番大きい」と言っていたが、星野監督もいま、そう感じているだろう。

 川中にやられるなんて、とても信じられないことだ。しかし、1軍に途中から入り、ベンチのムード、練習法などあらゆるものを吸収してきたからこそ、こんな場面で打てたはずだ。

 ほかにも斉藤、さらに福井と阪神はこのあたりの選手に痛い目にあってきた。では逆に、同じような境遇の選手で阪神に着実に伸びた選手はいたか。

 一時期、斉藤が故障者のアナを埋めるために1軍に登用され、当初はいい働きをしたが、長続きはせず、再びファームに落ちたまま、上がってくることはなかった。松田や藤原、梶原康といった選手もいつの間にか上がっては、降格している。

 巨人との差はいろいろあるが、長いシーズンを考えた時、こういった層の厚み、薄さの差は大きく影響するのは当然である。首脳陣はチャンスをそれなりに与えている。だが応えることのできない選手。一方の巨人は余りある戦力に、こういうプラスアルファまで出てくる。

 ファームで優勝することも価値はあるが、目的はやはり1軍での働きだ。結局は新しい力がほとんど出ないままシーズンは終わろうとしている。1軍を脅かす存在がない、という嘆かわしい現実は、1軍の甘さの副作用を生む。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月15日付紙面掲載


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