阪神 1―2 ヤクルト (9月12日・神宮) 

来季補強へ飛び出す「星野ルート」

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

失敗続き…「自分でやる」

 5位転落にも怒りを抑えていた。打てない打線にもっと激しく爆発するかと思っていたら意外なほど穏やかだった。試合後の星野監督。秋風とともに、熱さが薄れてきたと感じるのは、僕だけだったのか。

 もうチームの力は完全に把握したのだろう。限界はわかっている。だから、冷静に分析できる。そんな試合後だったが、来季に目を向けた時は激しい言葉が飛び出す。「このオフは、自分の持っているものを、すべてさらけ出す」。11日の昼、担当記者を前にこう宣言している。星野ルートをフルに使って、補強に乗り出す。そうはっきりと言い切った。

 本来ならこれは当然、球団編成部の仕事だ。だが、ここ最近の補強を見れば、自分がやるしかない。そんな思いがはっきりと見える。

 この夜、7回裏に橋本がマウンドに上がった。左の岩村用のワンポイントだったが、橋本は四球を出し、また自分の役割を果たせなかった。思えばこの橋本のトレード相手として西武に移籍したのがエバンスで、西武に勢いをつける働きをしたのは記憶に新しい。逆に中継ぎ左腕が不足していた阪神だったが、橋本はまったく計算違い。さらにホワイトが故障で帰国し、外国人野手はアリアスひとりになってしまうなど、散々なトレードだった。

 古くは松永―野田のトレード、FAで獲得した山沖、石嶺、星野伸とほとんどの補強は失敗に終わっている。今年の片岡にしても打率2割3分、9本塁打。これではだれも満足はしない。成功例でいえば谷中くらいでは、過去の編成部門の責任は追及されてもいい。

 エバンスにしろ、西武で存在感を示す平尾にしろ、水に合う、合わないがあろうが、活躍を聞くのはなんとも複雑だ。今年のオフは激しく揺れるだろう。編成部門の的確な判断がより問われるが、そこに星野ルートも飛び出す。中途半端な補強だけは避けなければならない。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月13日付紙面掲載


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