阪神 2―3 ヤクルト (9月10日・神宮) 

「競り合い」までは持って行けるが…

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

勝ちを意識し守りバタバタに

 いつの時も、サヨナラ負けの光景は非情だ。

 5割、そしてAクラスをかけた最大の難関。ヤクルト―巨人―中日という上位3チーム相手の9連戦の初戦。神宮の三塁ベンチはその時、凍りついたままだった。

 ベンチ上のファンが叫ぶ。「赤星、下を向くな」。その声を聞きながら、センターから戻ってきた赤星は、目の前に散らばるメガホンを思い切り、蹴り上げた。

 悔しく、腹の立つ思いはわかる。だが、冷静に考えればやはり「これが阪神」なのだ。競り合いまではもっていける。が、そこから先の勝負になると、残念ながら力の差が出てしまう。戦力が低下し、開幕時のような勢いが失せたいま、はっきりと、それが結果に表れる。

 「島野さん、何とかしてくれよ」ヘッドコーチにファンは悲鳴に似た叫び声をあげた。その前を歩きながら、島野ヘッドコーチは怒りを抑えていた。いつも「負けた時は、なぜ、を追究していくしかない。なぜ負けたんか。なぜ抑えられたのか、なぜ打たれたのか。その答えをしっかりとわからせていく」と言うヘッドコーチはクラブハウスを出る時、この夜の無念を「やっぱり、長く勝っていないからかな」と言い表した。

 9回、ぺタジーニに二塁打を許したあとの井川は明らかに勝ちを欲しがり、そして守る方も勝ちを意識し過ぎた。井川も捕手の山田も「力みはなかった」と否定するが、あの回のバタバタとした落ち着きのない守りこそ、勝ちを過剰に欲しがるゆえの、焦りと受け取れた。

 沖原のミスも含め、ヤクルトとの現状の差がはっきりした。この差を埋めるのは、わずかなようだが、実は大きな壁が立ちはだかっている。

 「なぜ」を考え、この夜もまた眠れぬ時を過ごす。勝ちパターンを持たないチームゆえの苦悩。久しぶりに好投した井川でも勝てなかった。5位転落が目の前に迫っている。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月11日付紙面掲載


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