阪神 4―9 横浜 (9月8日・甲子園) 

信頼出来ない部分多いムーア

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

自ら流れ断ち切る投手への四球

 昨年、札幌で突然亡くなられた杉浦忠さんは59年、南海ホークスで38勝4敗という驚異的な成績を残している。当時のチームメートに聞くと「アイツが投げると負ける気がしなかった」と全幅の信頼を寄せられていた。

 もうこんな勝率の投手は現れないだろうが、それとは逆に2ケタ勝っても、同じように負けるという信頼を置けない投手は現在の球界には多くいる。この夜のムーアはまさにそれ。キーオ以来の外国人2ケタ勝利投手にはなったが、信用できない部分があまりに多すぎる。

 5回まで横浜をノーヒットに抑えた。記者席では相手が横浜だけに快挙達成を予感する声もチラホラと出た。ところが6回1死から投手の吉見に四球を出したことで、自ら「流れ」を譲り渡してしまった。鈴木尚に同点二塁打を浴び、8回の勝負所では、もう集中力が切れていた。

 別にナメてかかったわけではないだろうが、横浜だって必死に向かってきているのだ。この夜までムーアは横浜に2勝1敗。それだけに横浜も過去のデータをニラみ、対策は練っている。「企業秘密だから、詳しいことはカンベンしてもらうが、試合中に指示は出したよ。ムーアはなかなか攻略できない投手だから、ワンチャンスを生かさないと。吉見の四球とか、点に結びつかなかったが、相手のエラーとかで、流れが変わる。特に吉見の四球は大きかった」と横浜の田代打撃コーチは振り返った。

 鈴木尚の二塁打と8回の本塁打は同じ甘めのスライダー。さらに横浜打線は中盤以降、ファーストストライクから打って出ている。これが指示であるなら、逆にムーアの方で修正すべきなのに、同じペースで行けば痛い目にもあう。

 ムーアは来季も残留するだろう。いい投手という評価は変わらないが、せめて2勝1敗ペースを保てなければ信頼はしにくい。精神面も含め来季への課題ははっきりとしている。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月9日付紙面掲載


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