阪神 4―1 ヤクルト (8月31日・甲子園) 

今岡は勝ち負け超越したスター

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

来季へ自信つなげるため3割目指せ

 夏休みももう終わる。過ぎ行く夏の思い出作りに4万3000人が集まった甲子園。阪神はつくづく幸せな球団だ。

 小さい目標は確かにある。チームにとって5割とかAクラスは必ず成し遂げなければならない目標だ。だがファンは優勝を期待し続け、それが叶わないと悟った時、何を見に、球場に足を運ぶのだろうか。

 ふと昔を考えた。チームが低迷しても、あの投手が見たい、あのバッターが見たい、と感じさせるスターがいた。田淵のホームランを見たから幸せだったとか、掛布の一発でスカッとしたとか、勝ち負けを超えたところで満足させられるスター。それが今、ほとんどいなくなった。

 久しぶりの本拠での勝利。勝ちに関連はしなかったが、今岡が7回、三遊間を破るヒットを放った。これが今季142安打目だった。一時は首位打者も、といった声もあがったが、トップと3分近い差がついた。ただ今岡の価値はまったく下がらない。打撃30傑を見てもらえればわかる。今岡より打率が上にいるのはすべて左打者。リーグで1番の右打者なのである。

 「1試合に1本なんてことも考えてないですよ。自分のイメージ通りのバッティングができれば、おのずと結果はついてくる。それしか考えていません」と試合後の今岡は言った。本当はもっと3割を意識した言葉が聞けると思っていたが、肩透かしを食った。

 「なんと言っても、左打者との違いは内野安打の数。今岡はほとんど内野安打がないでしょう。左と右の差は年間20安打と言っていい」と言うのは日刊スポーツ評論家の中西清起さんだ。

 残りはちょうど30試合になった。3割を残せるかどうか、今岡にとってはいよいよ勝負の時を迎える。ただひとり、ずっとがんばってきた男に、必ずご褒美があるはずだ。来季へ大きな自信につながる3割挑戦を、今後の大きな楽しみにしたい。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月1日付紙面掲載


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