阪神 1―10 巨人 (8月25日・東京D) 

苦境脱出を邪魔する…前半の進撃今や麻薬

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

周りが騒ぐほど、選手に危機感ないのかも

 甲子園を明け渡して3週間。ようやく本拠に帰れるというのに、ロード最後の試合はあまりにも惨めすぎた。 8回裏の5失点は、オマケみたいなもの。ポイントは前半3回に、真田を崩せなかった打線に尽きる。真っすぐも走っておらず、スライダーも甘めに入ってくる真田に対しまず無死二、三塁で今岡が初球を投ゴロ。次は1死満塁と場面が変わって、3番平下がボール球を振って三振。アリアスも凡打。前日から3度目の満塁の打席でのだらしなさは、正直、もう見飽きた。

 いくら故障者が続出しているといってもクリーンアップを張っているのだ。比較するのは酷だが、巨人との差を痛切に感じた。

 高校を出たばかりのルーキーに7回を1点にかわされた。そりゃ落ち込むだろう。試合後、メガホンが乱れ飛ぶレフトスタンドを背に、ロッカーから姿を現したコーチも選手もみんな、うつむき、悲しそうだった。田淵コーチが番記者に取り囲まれる。その後ろを歩く和田コーチもまた、同じように精気のない表情だった。

 これまでと今年。その違いを最も感じるのが和田コーチだ。昨季限りで現役を引退。コーチ専任となり、田淵コーチとともに、前半は打線を陰から支えてきた。それだけに、かつての力のない打線に戻った現状に腹が立って仕方がないだろう。

 「チーム全体の力はついているとは思う。ただいい時の事が残っていて、悪くなった時の対応ができていない。主力がケガでいないけど、それは、いま出ている選手にはチャンスなんですよ。それをもっと考えなければ」。進撃を続けた前半の幻影が、苦境に陥った時の邪魔をする。周りが騒ぐほど、危機感が芽生えていないのかもしれない。

 この日の朝も、三宅チーフスコアラーとともに、データ解析に和田コーチは時間を割いた。いまは地道なことを続けるしかない。ただ状況は相当、深刻である。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年8月26日付紙面掲載


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