阪神 3―5 巨人 (8月23日・東京D) 

前日の反省生かし吉野“光投”

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

思いきって内角攻め

 何かが起きる。そんな予感が漂う1日だった。

 午前中、東京に移動し巨人戦に挑んだが、試合前、星野監督は番記者にまったく口を開かなかった。常に番記者に対して協力的で、自分の思いを伝えてきた監督だったが、この日はどうしたのだろう。「ええ、こんなことは今シーズン、初めてでしょう」。トラ番・実藤健一も首をかしげた。

 やはり起きた。6回、アウトセーフを巡り、抗議した星野監督は審判に暴言を吐いたとして退場、さらに暴行を働いたとして田淵コーチも退場となった。詳しいことはメーン記事を読んでもらいたいが、こちらの勝手な想像だが、ここ最近のいら立ちが、こんな形で出たのではないだろうか。現に試合後、星野監督は淡々としていたし、判定に対しても「ウチの野手がヘタなんや」とまで言っている。あまりこだわらなかったのは、判定の問題以前にうっ積したストレスがあったからではないだろうか。

 何事においてもち密な監督だけに、そんな短絡的に考えるな、と言われるかもしれないが、ここ最近の試合は実に不満が募る内容が続いている。残り試合、さらに来季に向けて、ひとつひとつ課題をクリアしていかねばならないのに、解消されない。前日(22日)の広島戦の中継ぎ陣の崩壊などは、象徴的なもので、金沢と弓長の2人は即座にファーム行きを命じられている。

 そんな中、ひとつの光として見たいのが、吉野の好投だった。あの騒動の6回裏途中から登板し、7回も3人で抑えた。特に3冠王松井に対し、逃げることなく、気持ちで向かっていって三振に仕留めた。前日の崩壊中継ぎのひとりが、1日で評価を変えた。

 「自分のやるべきこと。常に全力で向かっていくしか僕にはないですから。松井さんだから、とかじゃなくて左を封じるためにどうするか。それを考えて投げるしかないです」。思い切って内角を突き、最後は外のキレのあるストレートで空振りに取った。

 敗戦の中で、目立たなかった。しかし、1日で反省を生かし、立て直した。こんなことが監督にはうれしい。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年8月24日付紙面掲載


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