-阪神 1―6 ヤクルト (8月16日・神宮) 

豊富な練習も結果出ぬ悔しさ

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

広島の黄金期は「鳥かご」の奪い合い

 疲れなのだろうか。妙に動きにキレがないように映った。藤田太陽がペタジーニに2発食らい、打線も完封を免れるのがやっと。また貯金ゼロのピンチに立った。

 昔は「死のロード」と言った。高校球児に甲子園を明け渡し、3週間の長期ロード。番記者時代は常にこのロードに帯同し、そりゃ、ムチャをした。まるで檻から放たれた野獣のように、取材(?)に、遊びにと過激に動き回ったものだ。

 ところが50歳を目前に控えた男にとっては、やはり暑さはこたえるし、移動がそのまま疲れになってはね返ってくる。大阪〜札幌〜東京。これだけでもガクッとくる。

 19日にはようやく地元に帰れる。この神宮がロード最終カード。試合前、三塁ベンチで星野監督と本紙評論家の一枝修平さんが「練習」について話に花を咲かせていた。「学生時代は本当によく練習したね」(星野監督)、「プロに入って感じたが、その通りで、学生時代に比べ、結構練習は楽やったもんな」(一枝さん)。

 昔と違い、キッチリと管理された現代の方が練習量は多い。特に今回の長期ロードのような場合、練習のスケジュールを綿密に立て、狂いのないように行われている。ただし問題はその中身である。なにも阪神の選手が漫然と予定通りにこなしているだけ、と言っているのではない。ここ何日かだけど、それはみんな、真剣に、目的意識を持ってやっている。

 ただ、それが結果になって表れないところが悔しい。ここにいい例がある。阪神同様、いや、それ以上の過酷な日程を強いられる広島の黄金期。山本浩二がいて、衣笠がいて、あとに高橋慶彦、山崎隆造、正田耕三が続いた時代。遠征に出ると、常に練習場は殺気にあふれ、通称「鳥かご」と呼ばれる打撃練習場は取り合い。高橋や山崎が打ち出すと、納得するまで終わらないため、他の選手から文句が出た。「オレらの時間がなくなるやないか」―。

 「そりゃ、必死だったよ。うまくなりたい、試合に出たい。そのためにやっただけ」と高橋から聞いた。そのことを思い出し、今の若い阪神にそんな貪欲さが出てくればと願った。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年8月17日付紙面掲載


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