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阪神 4―1 横浜 (8月14日・札幌D) | ||||
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ギクシャク…必死のリード中谷
名捕手・田淵もうなった「一番の収穫」名前を変えた。背番号も変わった。結婚もした。なにもかもが、あの時とは違う。栄光のドラフト1位は、そんな過去を振り返る余裕はない。 中谷仁。5年目に入り、23歳になった。彼には巨人にマジックが点灯したことなど、まったく気にはならなかった。ただ目の前の与えられたチャンスをモノにしたい。その一心だけだった。 巨人にマジックが出て、ひとつの節目を迎えた日、私は札幌シリーズ2戦目に、捕手中谷の動きを追った。一時はアクシデントで失明の危機に陥り、選手生命も危ぶまれた。それを乗り越え、矢野の骨折で巡ってきた出番、これを逃がしてたまるか、というひたむきさが彼の体中から湧き出ていた。 途中、ムーアとの呼吸が合わず、マウンドに走った時、笑いながらムーアに頭をつつかれた。一生懸命だからこそ、ムーアはリラックスさせようとした。投手にこう思わせる捕手は得だ。貧弱でギクシャクしているけど、こんなに頑張っている。なんとか応えてやりたい。そんな得が中谷にはあるように思えた。 ドラフト1位のカッコよさもなければ、スマートさもない。それでも中谷はプロに入って初めて、自分が守りきって「勝利」を味わった。 「ムーアがよく投げてくれました」。このあと何か言おうとしたが、口がモゴモゴして聞き取れなかった。それほど本人は興奮していたのだろう。 まだまだ、技術的に評価を下せる段階ではない。が預かる木戸コーチは「大事なもの」を中谷が持っている、と言った。「相手との駆け引きなんかはまだまだ。でもガムシャラさ、なんでも吸収してやろうという気持ちですよ。アイツのよさは、まず、そこなんです」。 これから先、阪神に消化ゲームはない。苦しい状況で闘う中で、来季につながるものを見いだしていかねばならない。その先陣を切った中谷。バッティング担当の田淵コーチが思わず、かつての名捕手に戻って「中谷が一番の収穫。あのリズム、テンポ、いいよ。野手も守りやすい」と言った。 【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】
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2002年8月15日付紙面掲載
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