星野阪神の挑戦

    阪神 1―3 ヤクルト (4月28日・甲子園)
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島野ヘッドは知っている「監督の孤独感」

経験生かし的確サポート

 5万3000人の後押しもむなしく、淡々と流れた試合は見せ場のないままゲームセットを迎えた。打てず、守れず、ヤクルトに連敗。デーゲームでは今季早くも4敗目。バッテリーを含めた守りの再チェック。そしてデーゲーム対策…多くの課題を残した試合が終わりを告げると、今年58歳になった島野ヘッドコーチは足早にコーチ室へと消えた。

 話は7年前にさかのぼる。中日2軍監督だった島野ヘッドは球宴明けからそのシーズン3人目の「監督」として1軍を指揮している。高木監督が休養し、徳武監督代行でも立て直しが出来ず、チームがもがき苦しんでいた時、代行監督の役目が回ってきた。

 「いい経験をさせてもらったわ。いろんな意味でな」。阪神との最下位争いをしのぎきり、5位でフィニッシュした島野代行はそう話している。そのオフ、星野監督が誕生したのだが、島野ヘッドの言う「いい経験」の一つには「リーダーの孤独」を知ったことがあるのではないか。

 監督の仕事は多岐に渡る。ゲームの指揮はもちろん、フロントとの折衝にマスコミを通しての広報活動。後援者を含めた“外交”もその一つだろう。多くの作業に戸惑いつつもチャレンジした。だが長いコーチ生活の中でこれまで経験しなかったことがあった。それはある種の孤独感を味わったことだった。

 選手の体調や私生活を含めた悩みなどコーチ仲間や選手本人から気軽に入っていた情報が入りにくくなった。コーチ時代と同じように選手を観察していれば、異変には気づく。だが、なぜか情報が上がってこない。オレの決断一つで選手の人生が決まるからな―。多くの権限を握り、人の人生を背負うことの重さと、孤独を痛感した。この時の経験が星野監督をサポートする際、さまざな局面で生きることになる。監督の心情がそれまで以上に把握できたから、難問をスムーズに解決できるケースが増えていった。

 今年からユニホームはタテジマとなった。そしてチーム状態が上向いたと思った矢先の連敗。これだから野球は難しい。新たな課題が発生し、さっそく選手入れ替えの措置を決めた。ダイエー監督として悪戦苦闘した経験をもつ田淵コーチと島野ヘッドを中心としたスタッフが目標に向かって知恵を出し、汗を流し、今後も課題と格闘していくことになる。ボソボソッとした独特の口調で島野ヘッドがつぶやいた。「ことしは何かが起きるよ。そんな空気がチームにあるんや…」。

【安藤宏樹】

星野阪神の挑戦

2002年4月29日付紙面掲載  


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