星野阪神の挑戦

    阪神 1―9 ヤクルト (4月27日・甲子園)
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「投手も打撃向上を」改革着々

野手からの大きな信頼も

 ヤクルト先発の入来に一、二塁間を破られた。このヒットで1死一、三塁。そして1番真中に試合を決定づける5点目のタイムリーを浴びた。6回の出来事だった。「投手の打撃は重要だ」。執ようなまでに繰り返す星野監督にとってはそれを敵に実践された格好となった。前夜の裏返しとも言えるこのシーンをベンチの星野監督はどんな思いで見ていただろうか。

 前日のヤクルト戦。2回に9点を奪い大勝した阪神だが、その最初の1点をたたき出したのが先発の井川だった。8番山田に右前打が飛び出し無死満塁。打席に向かう井川に対し、星野監督は耳打ちしている。その内容を改めて問われた井川は「おまえが決めてこいと言われたんですよ」と前夜と同じ話を繰り返した。

 しかし1点を追う絶好機。次打者には絶好調の今岡が控えている。何より併殺が怖い。「心情的には三振でもいい場面だわなあ」と島野ヘッドコーチも振り返っている。ホントに指示は「決めてこい」だったのか。「三振してこい」だったとしてもおかしくはない。だが星野監督は「思い切りいけと言うたんや。思い切りいけば7割は三振するやろ」。そう言って笑い飛ばした。

 「真相はわからんよ」。ある関係者は笑いながら仮説を立てた。いわく、星野監督は就任以来、投手に打撃の重要性を説き続けている。なのに三振してこい、などと言えるはずがない。本音を言えば三振でもOKだったはずだが、それでは矛盾する部分も出てくる。だからバクチ覚悟で思い切りいけと指示を出した、と。

 結果は思い切りバットを振ったぶん、打球は大きく弾み、三塁手の頭を越えた。これが同点タイムリーとなり、大量点へとつながった。仮説に従えば星野監督のバクチは当たり、そしてチームには改めて投手の打席の重要性が浸透したことになる。

 中日監督時代も同じ指導を続けた。山本昌が打席を大事にするようになり、最多勝投手になった。それをまねた野口もまたリーグを代表する左腕となった。打席を大事にすることでそのゲームだけではなく、野手からの信頼も得ることができる。その結果、チームにとっても個人にとってもプラスが増える。「そりゃあ変わりますよ。考えます。だから打撃フォームとか変えているんです」。この日、井川は打撃改造を行っていることを明かした。ゴールデンウイークのスタートは白星を飾れなかった。しかし、チームの改革は着実に進行している。

【安藤宏樹】

星野阪神の挑戦

2002年4月28日付紙面掲載  


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