星野阪神の挑戦

    阪神 6―3 広島 (4月24日・広島)
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野村TOP野球肯定し再建推進

正しくは「飛躍的成長」

 不振の助っ人アリアスの5号2ランが口火となって阪神は広島に逆転勝ちした。貧打に悩んだのがウソのように、猛虎打線は元気を取り戻した。チームも3年ぶりの4月勝ち越しが決定だ。どこもかしこもエビス顔。阪神を取り巻く環境は今、笑顔であふれている。

 すべては「生まれ変わった阪神」のおかげだが、実はこの言い方は本質を表していないかもしれない。むしろ「飛躍的成長を遂げた阪神」の方が正確だろう。思い返せば3年前、野村前監督を迎えて阪神再建は本格的にスタートした。久万オーナーは「知能程度の低い球団にはピッタリの監督です」と持ち上げ、全面的に支援した。夫人の脱税事件がなければ4年目の続投も決定していたが、志半ばでバトンは移った。

 「生まれ変わった」という表現に疑問符を付けたのは、実は星野監督が野村TOP野球の理解者であり、これを肯定した上で再建を進めているからだ。「オレはノムさんのやってたことは間違いじゃないと思ってる。『野村の考え』も読んだし、まさにあの通り。あれを6割〜7割できれば必ず勝てると思うよ」。決して否定しない。「選手も頭で分かっているね。ただ行動に移すのが難しいんだ。だから意図があってのミスなら怒らんよ」。

 1年目に畑を耕し、2年目に種をまき、3年目に花を咲かす―。野村前監督の掲げた目標は、悲しいかな3年連続最下位で終わった。しかし星野監督は結果だけですべてを否定するのでなく、野村野球の良さを見極めて新たに自分なりの肥やしを加えた。この絶妙に配合された肥料が虎ナインの栄養となって、飛躍的成長を促進させたのだ。

 そんな阪神の快進撃を今、野村前監督はどんなふうに見ているのだろう。よく知る球界関係者によると、やはり気になるようで野球中継はもっぱら阪神戦だとか。テレビの前でブツブツとグチっている姿が目に浮かぶ。星野監督が就任する際「すまんのう、迷惑かけるのう」とのメッセージを届けた前任者は今、社会人チームの臨時コーチを努めるなど相変わらず野球から離れなれない日々を送っている。星野阪神の戦いぶりを、野村前監督ならどうコメントするだろうか。

 阪神の伝統を重んじ、前任者の良さを残し、新たに足りない部分を加えての猛虎再建。星野監督の卓越したマネジメント能力と手柄を独り占めしない懐の大きさが、今の阪神の快進撃の最大要因であることだけは疑う余地もない。

【阪神担当キャップ=木崎輝三】

星野阪神の挑戦

2002年4月25日付紙面掲載 


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