星野阪神の挑戦

    阪神 0―1 巨人 (4月19日・甲子園)
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主力2人離脱…試される手腕

慌てぬ監督、不測の事態も想定

 たった1発、伏兵のパンチで星野阪神は沈んだ。打たれた井川を誰が責められよう。敗因は明らかに見殺しにした打線にあるのだ。試合前、赤星が右足亀裂骨折で登録抹消された。矢野に続き赤星も…。試合前の重苦しいムードを引きずったかのように、打線は沈黙したまま終わった。

 もっとも、これまでが順調すぎたのかもしれない。キャンプ、オープン戦を通じて主力選手にケガ人はゼロ。天候にも恵まれ、オープン戦20試合すべてを順調に消化できた。開幕に向けて万全に仕上げられたことが、10勝1敗の歴史的好ダッシュにつながった。引き分けを挟んで3連敗を喫したが、まだ貯金は6。泥沼というにはまだ早い。

 センターラインの主力2人の離脱は大きな痛手だが、星野監督は決して慌てたそぶりは見せなかった。そんな不測の事態も考慮してチーム作りをしてきた自負があるのだろう。「こういう時のために控えがおるんやないか」。指揮官はどっしり構え、プラス思考を強調した。むしろ控え選手にチャンスが巡ってきたとさえ言いたげだったのだ。

 組織としての力、チームとしての本当の実力はこうしたピンチの時に試される。1軍の欠けたパーツを補ることができるか。2軍も力量が問われる。ウエスタンでは首位をキープ。それだけ予備軍が充実している証しだが、こんな時に1軍を助ける選手を供給できてこそ存在価値は高まる。

 早速この日、岡田2軍監督は甲子園球場を訪れ、島野ヘッドと緊急会談を行った。キャンプから連絡を密に取り合い、情報交換は欠かしていない。特に今年はさまざまな試みも行われている。その1つが2軍選手の甲子園観戦だ。練習終了後に甲子園球場で行われる1軍の試合を観戦する。応援ではなく勉強だ。いつ1軍から呼ばれても慌てないよう、体だけでなく頭の準備もしておくためだ。

 一枚岩の組織なら情報はすべてトップに集まり、指令は的確に下へ伝わる。安芸キャンプでも、星野監督はコーチに任せっぱなしのふりをして選手個々の情報をすべて把握していた。監督室には大きな張り紙が張られ、そこに日々の選手の情報が記入されていたという。例えば投手なら誰が何球投げ、どういう調整を行い、状態はどうか。一目瞭然だった。形こそ違え、公式戦に入ってもチーム全体を把握しているのだ。

 順風満帆だった星野阪神が初めて迎える試練。ただこのアクシデントも予期していた1つに過ぎない。問題は矢野と赤星が抜けた穴をどう補い、繕い、乗り切っていくか、だ。本当の手腕はこれから試される。

【阪神担当キャップ=木崎輝三】

星野阪神の挑戦

2002年4月20日付紙面掲載 


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