星野阪神の挑戦

    阪神 2―3 横浜 (4月13日・甲子園)
image

“星野家”は負けても慌てない

 試合前の阪神ベンチはなんとも明るい。「おっはよう」。これが星野監督の第一声だ。今年の安芸キャンプに訪れた評論家のほとんどが「明るくなった。グラウンドでも声がよく出るようになった」と話した。スポーツは本来明るいものであり、特に団体競技は活気がなければ一丸精神は生まれない。当たり前のことだが、実はこれが阪神に最も欠けていた要素なのかもしれない。

 礼儀を説いた野村前監督は、報道陣だけでなく選手や評論家やOBが「おはようございます」と声をかけてもギョロとにらんだまま無言だった。照れ屋で素直に気持ちを表現できないタイプなのかもしれないが、無視された方は決していい気はしない。

 キャンプ中、星野監督との朝食会に同席した遠山の言葉が今も印象に残っている。「今年はみんな報道陣とあいさつするようになりましたよね」。隣で聞いていた星野監督は「ふ〜ん」と言った表情だったが、リーダーのキャラクターがどれほどチームの雰囲気に影響を与えているかの証しだろう。ベンチでも喜怒哀楽を表す指揮官に、選手はグイグイ引っ張られている。送りバントを決めた選手がベンチへ引き揚げてくると、星野監督は拍手して褒めたたえる。開幕戦完投の井川には抱擁で出迎えた。ピンチでもチャンスでも声が出る。当然、メガホンを持った若虎も負けていられない。ベテラン八木は「チームが好調ということもあるけれど、ベンチが明るいのは監督が1番声を出すからですよ」と分析する。

 もちろん、いつも明るいわけではない。選手が震え上がる事件もあった。オープン戦中盤の近鉄戦(3月10日・高松)。胸元への内角球が甘くなって一発を浴びたバッテリーに雷が落ちた。指揮官がベンチの火鉢を「ガ〜ン!」と蹴り上げると、火の粉が舞い上がったという。リーグも異なり、しかもオープン戦。死球に配慮してコースが多少甘くなったバッテリーの気持ちも分からなくはないが、それでは練習のための練習でしかない。4年連続最下位のチームにそんな余裕があってはならないのだ。

 明るくて、優しくて…だけど怒るとむちゃくちゃ怖い。今の時代が求める理想のオヤジ像が、星野監督かもしれない。だから“星野家”は一丸になれるし、たかが1敗ぐらいで慌てることはない。

【阪神担当キャップ=木崎輝三】

星野阪神の挑戦

2002年4月14日付紙面掲載 


[星野阪神の挑戦 目次]
阪神 | 野球 | サッカー | スポーツ | 競馬 | 芸能 | 社会 | レジャー
Home