ついに関西にも後援会

星野の挑戦in安芸

「まずは神戸で」産声

 星野の長年の友人、後援者が次々に安芸にやって来る。宿舎のロビーや球場のあちこちで、わたしもそういう人たちとバッタリ出会う。企業の若手経営者や医者、団体の役員や政界関係者などである。彼らから最近の星野らしい話をいろいろ聞くのだが、書いてもよさそうな話を2つばかり紹介しておこう。

 ひとつは姫路市の医療団体の幹部からの、新しい後援会発足にあたっての話だ。

 星野の中日監督時代の後援組織「仙友会」は、星野が阪神監督に就くことが決まった昨年末に解散した。愛知、岐阜、三重、静岡の中部・東海4県の若手ロータリークラブを中心にした420人で、長年物心両面から星野を支えてきたのだが、星野が名古屋を離れればやはり自然消滅する。

 ユニホームを着る、着ないにかかわらず、星野個人を応援する親睦団体の「1001会」や、郷里岡山の「岡山県星野後援会」の存続はあるものの、星野が大阪人、関西人の心の糧である阪神タイガースの顔となれば、関西方面の社会的にも実力のある友人知己はやはり黙ってはいない。

 その医療関係者の幹部によると、ここへきてようやく、新しい後援会が神戸で産声をあげることが決まったのだという。「まずは神戸で。これは相当なメンバーになると思いますので、わたしがかかわってきた姫路の後援会も下部組織に組み入れます。まずは神戸から。それから大阪とも」。発足は3月下旬、星野のもとへはその経過報告にきたものらしい。長年の友人や知己の間の熱意も随分と波立っているようだ。

 しかし、なによりもこの時の星野の大人な、落ち着いた応答が好ましかったらしい。「後援会というとこれまでは、どちらかといえば資金力だ。社会的にも強力なラインアップだと考えられがちだったけど、今は経済的にも世の中がこういう時代ですから。カネがたくさんかかるような、仕事がらみだったりするような大きな団体ではなく、たとえ10人でもいい。心の上で星野を助けてやろう、応援してやろうという、そういう温かさのある人たちだけの集まりにしていただけないでしょうか」と。

 もうひとつは東京のある中小企業の社長からの、星野の交際費についての内緒話だ。

 球界の一部には昔からずっと、人気監督の交際費についての不愉快な、不明朗な裏話が尽きないところがある。高い年俸のほかに年間1000万円、2000万円と、監督が自由に使える交際費を設定した契約が行われるのだが、往々にしてその使途は不明だったり、会計処理上、問題やら誤解を生じて、天下の名監督が辞めていったケースもあった。

 「仙ちゃんはそんな話をしたあと、“おれは構造改革をやったよ”ってこういうんですよ。“交際費は今までの慣行を捨てて、すべて実費計算、実績精算でいくことにしたんだよ”って。球団の偉いさんたち、ものすごく喜んだらしいですね。カネに汚い監督もいた中、もうこれひとつ話にとっても、阪神にとっては朗報じゃないですかね」

 その社長はそういって、わたしの肩を思い切ってバシッとたたくのだった。(敬称略)

 三浦勝男 1939年(昭14年)、神奈川県生まれ。明大卒。62年、日刊スポーツ新聞社入社。巨人、中日担当、野球部長、編集局長、役員などを経て、現日刊スポーツ新聞社顧問。現在は多方面で執筆活動中。星野監督とは中日入団以来、33年間の交友。



2002年2月10日付紙面掲載 


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