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マナー悪いファンに目吊り上げ…

星野の挑戦

自主規制できぬなら取り締まりを

 20年前、30年前まではどこの球場にもタチの悪いファンがいくらもいて、試合中も試合後もいろいろとトラブルを起こしたり大騒ぎしたりするものだから、警官隊が出動したりしてわれわれも、試合そっちのけで取材に忙殺されることがよくあった。

 空きびんを投げる、石を投げる。差別語を連発して、ベンチの上から小便をする。グラウンドに飛び降りてきて選手やコーチに殴りかかる。帰りのバスを取り囲んで選手を引きずりおろしたり、窓ガラスを割ったりする事件も多かった。

 甲子園でいえば記者席がネット裏スタンドの中央にあるものだから、われわれ新聞記者もよくからまれたりした。今は亡い青田昇さんが日刊の評論家だったころ、紙面でも「毒舌」を売り物にしていたものだから、酔っ払ったファンが「こら、ドクジタの青田!」とツバを吐きかけたりしてくる。

 そんな時、青田さんが「ドクジタじゃないわい。ドクゼツって読むんや」などと応酬しようものならもう、1時間も2時間もじっと悪口雑言を聞いていなければならなかった。弁当の空箱が3つも4つも飛んでくるから、伝統の一戦の原稿はえびフライのしっぽやコンブのつくだ煮の切れっ端を肩や頭に乗せて書いたものである。

 最近は場内の規制もできて、そんなにひどいファンも減少したはずだがタチの悪い、マナーのひどいファンや応援団の姿はなかなか消えてなくならないようだ。星野は「阪神ファンのなかにはフーリガンが大勢いる」といってよく目を吊り上げている。

 汚いヤジ、グラウンドへのものの投げ入れ。帰りのバスを囲んで運行のじゃまをする。連勝がストップした神宮でクラブハウスに引き上げるナインに、三塁側阪神の応援席からメガホンが投げつけられると、星野はそのメガホンを思いっきり蹴飛ばした。ただでさえ騒音を大きくして、メガホンを打ち鳴らしたりする応援方法には、星野も「耳が痛い。頭が痛くなる」といって顔をしかめているひとりなのである。

 東京ドームでの開幕戦。国歌斉唱のセレモニー中、応援団が六甲おろしを歌い続けた。阪神の人間として余りにも恥ずかしいと、翌日厳重注意を与えれば、応援団のリーダーは「国家斉唱というアナウンスが聞こえなかったんや」という。

 「これからはスタンドにもカメラとマイクを向け、ひどいファン、フーリガンみたいな奴はみつけて出ていってもらうというような対応を、球場、球団、球界でも講じていく必要があるのではないか」。自主規制ができなければ新しいルールや取り締まりの強化が必要だろう、と星野は残念そうな口調で訴えている。

 負けても最後まで攻め込み、粘るエキサイティングな今年のタイガース。エンターテイメントを楽しむすべを知らず、情動的で公徳心のないファンはどこにでもいるが、さあこれからはなんといっても熱狂ファンが断然多い本拠地の甲子園だ。勝ち負けも大事だが、星野の訴えや要望にもぜひ耳を貸してやってほしい。その戦いの行くえを、本当に応援するためにも。

 (おわり=敬称略)

 三浦勝男 1939年(昭14年)、神奈川県生まれ。明大卒。62年、日刊スポーツ新聞社入社。巨人、中日担当、野球部長、編集局長、役員などを経て、現日刊スポーツ新聞社顧問。現在は多方面で執筆活動中。星野監督とは中日入団以来、33年間の交友。



2002年4月8日付紙面掲載 


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