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阪神 5―4 広島(7月28日)


2000年の戦い
評論家が
徹底分析
一枝修平


連載目次

技術的な成長見た新庄の犠飛

ポイント遅らせ、併殺さける

 延長10回裏、最後の勝負所を迎えて、野村監督はベンチから何度も出て来て、打席に向かう選手に耳打ちをする。阪神の勝利への執念をのぞかせる象徴的な光景だったろうか。苦しみ抜いた戦いは、最高のサヨナラ勝ちで結末を迎えた。

 坪井、和田の連打で無死一、二塁。葛西の代打今岡のバスターは中飛に、さらに頼みの新庄が三振に終わったが、タラスコが前進守備の右中間を深々と破るサヨナラヒットを放ったのだった。

 一枝修平(日刊スポーツ評論家)「タラスコは復帰初打席で1球も振らずに三振した時はどうなることか、と思ったが、8回(同点二塁打)、10回とよく打ったな。もっとも技術的な課題が克服されたわけではない。2本とも広島の投手のコントロールミス。カウント球でコーナーをついて勝負球がともに甘く入ったところを打ったわけやね。この日に関しては気持ちがすべてを上回ったというところかな」

 先発川尻が立ち上がりにいきなり2点を取られる。阪神にとってみればイヤな流れだった。それを断ち切って、競り合いに持ち込んだのは4番の新庄だった。2回にミンチーから文句なしの本塁打。6回は同点に追い付く右犠飛を放った

 一枝「2回の本塁打は試合展開の上でも値打ちがあったが、それ以上に技術的な部分の充実を見せてくれた。テークバックでは、弓を引くような形になるのが理想なのだが、新庄のあのホームランは完全にその形になっていた。さらに6回の1死一、三塁からの右犠飛。ポイントをほんの少し遅らせて、併殺される内野ゴロだけは打たないというバッティングやったな。リキんでバットの先を早く返すとシンカー系の球はゴロになってしまう。そこらのコツをつかんだように思う。横綱相撲というのは受けて立つわけだが、新庄のバッティングも、受けて打つ横綱型になってきたよ」

 最後はサヨナラ勝ちで、すべては洗い流されたが、逆な方から見れば、1つ勝つのに非常に手間取った試合だった。はまらなかった継投に守りのミス、バスターの失敗…。

 一枝「現在の戦力からすると、広島より阪神の方が確実に勝っている。選手を使い果たしてからは、阪神がいつ勝つか、という戦いやった。それをミスで長引かせた。これからの課題も垣間見えた試合ではあったと思うよ」

(構成=井関真編集委員)


2000年7月29日付紙面掲載 
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