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阪神 3―2 巨人(7月19日)


2000年の戦い
評論家が
徹底分析
一枝修平


連載目次

必死の防戦が攻撃に生きた

守りから得点…これぞ野球のセオリー

 延長10回2死一、二塁。吉田剛の打球は糸を引くように左中間へ飛んでいった。2日続きの熱戦は、今度は阪神ベンチが小躍りする番。うなだれる桑田、ホームを駆け抜ける新庄。前夜とは180度異なった光景だった。

 一枝修平(日刊スポーツ評論家)「桑田はもう今までの彼とは違う。球威がない。コーナーを狙って球を置きに行くからシュート回転して甘くなる。2死一塁から新庄が盗塁を決めたが、桑田はランナーまで気が回っていなかった。もっと言えば、あの場面新庄が走らなくても、大豊には一発警戒で、大豊がボール球さえ振らなければ四球になっていたやろうね。自信がなさそうな桑田に対して、吉田剛の方が気持ちでも勝っていた。それにしても、野球のセオリーが生きていることを、今さらながら教えてくれるような総力戦やったなあ」

 チャンスの後にピンチあり、という。この夜の阪神側から言えば、ピンチの後にチャンスあり、だったか。0―2の5回表、1死一、二塁で清原のピンチを併殺で切り抜ける。その裏は代打根本のタイムリーで1点。8回は巨人の1死満塁を福原が153キロの剛球を連発して抑え、直後のその裏に新庄の幸運な中前適時打が出た。さらに10回表も2死一、二塁をくぐり抜けた後であった。

 一枝修平「必死の防戦をする熱気が、攻撃に生きたわけで、これが野球のセオリーなんや。阪神は全得点を守りから奪った試合やった。総動員が実った形になった。もちろん、初回のハートキーの守りや、その直後に高橋由に初球を安直にストライクを取りに行って打たれたことなど課題は見えたけれど、それを上回る“熱”が、サヨナラ勝ちに結び付いた」

 阪神の熱さが呼び込んだ勝利だろうが、明確な勝因は2回以降、巨人に1点も与えなかったひたむきなばかりの守りだったろう。10回守って、3者凡退は9回の1度だけ、という苦しい中、7人の投手を中心にしのぎきったのだ。

 一枝修平「巨人の代打で怖いのは後藤だけ。その後藤が歩かせるにふさわしいところで使われてきた。このあたりも阪神にツキはあっただろうが、とにかく初回の2点だけに抑えたことが最大の勝因やったね。球宴前の最後の巨人戦で、阪神はいい形の勝利をつかんだ。あとは第3戦にこの熱さを生かすことやな」

(構成=井関真編集委員)


2000年7月20日付紙面掲載 
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