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阪神 7―4 ヤクルト(7月9日)


2000年の戦い
評論家が
徹底分析
中西 太


連載目次

ひと皮むけた新庄

下半身安定…大豊、坪井もエエやん

 2つの屈辱を未然に防ぐ1勝は、3時間42分がかりの苦闘の末にもたらされた。もし負ければ借金は今季2度目の2ケタ「10」とかさばり、対ヤクルト戦に9連敗を喫するところだったのだ。ハンセルが投げた真っ正面のけん制球を、大豊が後逸する信じられないミスから失点したゲームは、その張本人の大豊が同点ソロ、勝ち越しの満塁本塁打とバットでお釣りがくる活躍をして、ようやくヤクルトに競り勝ったのだった。

 中西太(日刊スポーツ評論家)「綱渡りのゲームやったね。それにしても、レモンが投げた2つの失投をいずれもホームランした大豊は見事やったぞ。一発屋の存在価値を存分に示したな。失策をした直後というのに、リキまずにいいポイントで球を捕らえた。ここまで、失敗してはオーダーから外される、という繰り返しをしてきたが、人間やっぱり辛抱が大切ということやな。夏場になって、投手には”ヘバる時期”がやって来る。つまり失投が相当に多くなるわけだから、これからは大豊の季節になってくるのと違うかな。ホンマに怖いバッターやぞ」

 大豊が自らの失敗を取り返して余りある働きをした。しかし、もちろん彼1人の力で打ち勝ったわけではない。

 中西「坪井の6回、6点目のタイムリーは効いたな。それまで振り回して2三振していた坪井が、2―2から厳しいスライダーをうまく打った。ヤクルトが追い上げたとはいえ、拙攻続きだっただけに、坪井の巧打で、苦しい状況の試合に風穴をあけ、白黒をつけたね」

 大豊と坪井同様に光り輝いた打者がもう1人いた。7回、ダメ押しの17号アーチをかけた新庄だ。彼は3回には大豊の満塁アーチをお膳立てする左前打も放っている。

 中西「タイミングの取り方がゆったりしてきた。高めが打てないとか、弱点は残っているが、新庄は確かにひと皮むけたね。ヤクルトの池山や新庄は大振りしているように見えるやろ。しかし足元が崩れなくなっているんや。以前は空振りしたら、ひっくり返りそうになっていたのが、そうならなくなった。重心の移動がスムーズにできるようになった証で、だから細い体がしなってリストワークが使えるようにもなったわけやね。昨日も言うたが、阪神の打線、決してそう悲観するようなモノやないぞ」

(構成=井関真編集委員)


2000年7月10日付紙面掲載 
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