spacer
ヤクルト 8―0 阪神(7月8日)


2000年の戦い
評論家が
徹底分析
中西 太


連載目次

福原、セットからの投球が課題

監督を前に萎縮する若虎たち

 4回までの攻防を見た限り、誰一人こんな惨めな結末は予測できなかったろう。阪神先発の福原は最速152キロの速球でヤクルト打線をなぎ倒す。4回までは1人の走者も許さない。それどころか外野へも1本も飛ばされなかったのだ。ヤクルト先発のハッカミーも、初回先頭坪井にヒットを打たれたが、出した走者はその1人だけ。力と技の投手戦は、しかしアッケなく終止符をうった。5回、ペタジーニに四球を与えた福原は、高橋智に先制二塁打を浴びるなど2失点。そして6回にはペタジーニ、古田、高橋智に3連発の離れ業を演じられて、壮絶に散っていった。

 中西太(日刊スポーツ評論家)「福原は緩急の使い分けも巧かったし最高のデキやったけどなあ。ただ、やっぱりセットからの投球が一つの課題やね。高橋智に5回に打たれた先制打は片手で持っていかれた技ありの一打だったけど、あれですっかりペースを狂わしたな」

 投手戦の主人公はすさまじい散り際を見せたが、もう1人の主役ハッカミーは6回まで投げきると、アッサリと舞台から退いていった。7回からはヤクルトに五十嵐、山本、石井弘とつながれて、阪神は今季11度目のシャットアウト負け。

 中西「野村(監督)はボヤくが、阪神打線は決して貧相やないぞ。結構ぜいたくな打線や。この日の結果はともかく、フランクリンの加入は大きい。彼は4打席凡退でも、日本で成功する外国人選手の要素を、この日ものぞかせていた。低めの自分のストライクゾーンに来た球は、激しくスイングしていたやろ。ローボールヒッターというのは、日本の投手の攻め方に合うし、何より1番力強く打てるポイントでボールを捕らえることができる。今後阪神には大きな戦力になると思うよ」

 投手や打線はさておき、阪神の戦いぶりに、中西さんは物足りなさを覚えたという。

 中西「まだ若い選手が監督の顔色をうかがいながら縮こまって、ゲームをしている印象を受けたね。今岡なんか三塁守らしてもエエ選手やないか。シンに当てるのもうまいし…。監督のさい配は天下一品なんやから、あとは若い選手に自信を持たせることやで。補強もシーズン中では最大限にできたんやし、これからは球界に恩返しといった気持ちで、思い切りやらして若い選手を1人でも多く育ててやってほしいよな」

(構成=井関真編集委員)


2000年7月9日付紙面掲載 
Home