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阪神 6―5 巨人 (6月8日)


2000年の戦い
井関 真


連載目次

新庄”動き”が好プレー

7回、打球に猛突進、走者くぎ付け

 5回表を終わって5―0。久しぶりに阪神優位の流れである。一段落がついた思いで記者席で伸びをして斜め後ろを振り返ったら、川藤幸三さんと目があった。

 「楽勝? そうでもないぞ。桑田の大乱調と、巨人の今日も勝てるやろといった油断でこの点差になったけど、これから苦しむんとちゃうか」。かつては怖いもの知らずのナニワの春団治が、意外に気の弱いことを言う。連日、阪神の試合を見ている解説者ともなると、5―0程度では決して安全圏とは思えないのか。

 確かに5回の裏から、試合は川藤さんが予言した通りイヤな展開になってきた。好調だった藪が、高橋由に中前打を打たれ、次の仁志に2ラン本塁打を浴びたのだ。

 実は4回まで巨人の延べ13人の打者に対して藪は、三振1、内野安打が2、内野ゴロ9、内野フライが1。外野手の守備機会0の試合だった。守りでは骨休めをしていた外野手たちは、その分打席で仕事に精を出した。坪井、新庄、根本の3人合わせると6安打3打点。みんながそれぞれの分野で自らの仕事を果たした成果が5―0の得点差となって表れていたのだった。

 後半に入って、阪神の苦しみはなお募る。次のピンチは7回。2死から仁志が内野安打、代打江藤に右越え二塁打されて2点差に。巨人は代走佐々木、代打川相で勝負をかけてきた。そして藪は川相に打たれる。

 中前ヒット。転がった打球だったから、1点差を覚悟したら、佐々木は三塁に止まったではないか。新庄のいつもながらの猛烈なバックホームは、吸い込まれるように矢野のミットに収まっていた。「このワンプレーやで。新庄の肩が1点を防いだように見えるが、本当はあの当たりに対する新庄のチャージが決め手や。あれだけ突っ込んで来られたら、三塁で止まるやろ。こんなんを試合を決める大ファインプレーと言うんや」と川藤さん。「これで勝つわ」。この日第2の予言だった。

 終盤はのたうち回るような苦しみに満ちた展開。8回裏の防戦など、3つのアウトを取るのに、延べ6人の投手を注ぎ込んでいる。1点差まで追い上げられ、断崖絶壁に立たされたが、阪神は逃げ切った。試合終了。川藤さんを振り向いたら、いかつい顔をほころばせて、指でOKサインをこしらえていた。

(編集委員)


2000年6月9日付紙面掲載 
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