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阪神 1―0 中日 (5月23日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

12回、ノムさん頭脳的継投

右打者に吉野、左の代打出させず

 試合前のベンチで柏原打撃コーチと立ち話をした。「気が休まる時…。そらあるよ。試合がない日。昨日なんて気楽に過ごせたで」。冗談のつもりだったろうが、ふと笑うに忍びない気持ちがした。横浜戦で2つの連敗(対横浜戦14連敗と、チームの6連敗)を止める1勝をあげたとはいえ、1点を奪うのが精いっぱいだった。打撃コーチの胃がチクチクと痛みそうな展開は毎度のことなのだ。

 そんな心配は、ほどなく始まった中日との1戦でも、残念ながら持続した。星野伸とバンチ。ともにエース格の投手が、いつ果てるとも知れない投手戦を繰り広げたのだ。星野伸は得意の緩いカーブやフォークを徹底的に低めに集めて中日打線を抑える。実際5回2死後に山崎に左前打を打たれるまではパーフェクト。9回井端にバント安打を決められたものの、9回を投げ終えて、被安打2、奪三振は8。これ以上は望めない投球だった。

 ところが中日のバンチはそれを上回るピッチングをした。速球とスライダーを武器にして、阪神打線を寄せ付けない。彼は12回を投げ抜いて、被安打3、奪三振は11を数えた。阪神打線はねらいを外される上、コーナーに決められて、二塁まで進めたのは1回(2死後ハートキー四球、新庄内野安打)だけという悲惨さだ。

 阪神は10回から継投で、中日を交わしにかかる。伊藤が2回を投げた後の12回は、中日が右打者が3人続く2番からの打順なのに、なぜか左腕の吉野を登板させる。オヤッと思わせる起用だったが、中西清起さんは「井端の所で中日に左の代打、井上を出させない継投やね」とポツリ。言われてみればその通りで、吉野が井端を抑えると、すかさず葛西を出して防戦の態勢を整えた。

 勝負が決まったのは延長14回だった。今岡の安打とバント、坪井の四球で1死一、二塁。打者和田の1―3から二塁の代走高波と坪井は重盗を企てている(結果的には和田が選んで四球)。この積極的な姿勢が、そこまで2度も見逃し三振をするなど消極的だったハートキーを奮い立たせたのかもしれない。サヨナラ・タイムリーは中前へ勢い良く転がって行った。

 中日の10連勝を止める大金星…。14回攻撃して、得点はまた1点だけ、とはいえ勝利をつかむことはできたのだ。打撃コーチの気持ちも、少しは和らぐ1勝ではあった。

(編集委員)


2000年5月24日付紙面掲載 
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