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横浜 10―5 阪神 (5月19日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

中込引っ張りすぎ奈落へ

野村監督の継投に“狂い”

 初回の速攻があまりにも鮮やかだったから、余計に空しさが募る。

 5―5で迎えた8回裏だった。2死一塁から、吉田豊が代打メローニに中前へポトリと落とされたのが、悪夢の前兆だった。一、三塁から石井琢の当たりは、二塁ベース後方の小飛球。追いついた今岡は丁寧に捕ろうとしたあまりグラブさばきが固くなって落球してしまった(記録はヒット)。さらに波留の右前ポテン・タイムリー、鈴木尚に3ラン…。

 5連敗で横浜戦。この横浜には昨年から13連敗中だ。どうにかして勝ちたいという意識が、最後の勝負所で、すべて悪い方向に向かって流れてしまった。今岡の落球も、普通なら簡単に処理できていただろう。当たり損ないの打球が3本も続けて安打になるというのも、珍しいことだ。信じ難いことが、次々に起こるという不運まで背負い込んで、阪神はドロ沼に沈み込んだ。

 完ぺきな立ち上がりだったゲームがいったい、どこで狂ったというのか。1回表にいきなり4点を奪った。新庄の10号3ラン、さらに矢野、広沢、田中の3連打で1点を追加した点の取り方は、連敗中とはおよそ思えないソツのなさだった。この1回だけで9人の打者が出てきて6安打を打っている。

 だが、横浜・野村は2回から投球パターンをガラリと変えた。初回にねらい打たれた直球を隠して、フォーク、スライダーなど変化球ばかりを投げ込んできた。2回は直球0、3回は3球直球を投げてきたが、ストライクは1つもなかった。この“変化”に、阪神打線は突然急停車してしまったのだ。

 6回広沢がフォークを左翼席へ運んで追加点を取るまで、15人の打者が打席に立ったが、今岡が2安打しただけ(その内1本は打ち損ないの内野安打)だった。この“急停車”が、終盤にどれだけ響いたことか。

 そして6回に横浜に追撃されたところでの継投策。中込がローズに1発を浴びて1点差。さらに中根に安打された場面はもはや限界ではなかったか。中込を佐伯、金城まで引っ張り(安打と二塁打)同点に追いつかれてしまったのだ。キメの細かさには定評がある野村監督の継投策も、崩壊の気配をのぞかせる投手陣の前に計算違いをしてしまったのだろうか。

 悲しい結末…。6連敗、借金は今季最多の5になった。

(編集委員)


2000年5月20日付紙面掲載 
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