spacer
ヤクルト 4―3 阪神 (5月18日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

投打に渡り、すべてが空転

和田の二塁起用に疑問残る

 甲子園の観客は不思議というか、とにかくありがたいものだ。対ヤクルト1戦目は2万6000人、2戦目は2万4000人。連敗したうえ、草野球まがいのプレーをした(前日の9回)とあって、この日は目減りするか、と思っていたら、2万6000人が詰め掛けてくれた。

 そんなファンの温かさに応えるように2回、打線の主役・新庄が石井弘の高め143キロ直球を左翼席へ運んで先制する。幸先の良い幕開けだ。しかし、投げる方の主役・藪の調子が悪い。2回、打者宮本の時に143キロが出たが、直球が130キロ台に止まってしまう。案の定、4回は4安打を集められ、エンドランも絡められて2点を失い、5回には佐藤、ペタジーニに連続本塁打を浴びてしまった。

 6回は桧山の三塁打と矢野の犠飛で、7回は坪井の1号で1点差まで迫った。ヤクルトの追加点を阻むことだけでなく、投手陣の再編成を視野に入れなければならない阪神は、6回からはラミレズ、大詰めの8回は伊藤―吉田豊―ミラー―葛西と1イニングで4人の投手を惜しみなくつぎ込んで防戦した。

 この8回に気になったことが2つ。まず2死一、二塁から登板させたミラーだ。すっかり自信喪失のミラーには、この大事な局面はあまりに荷が重過ぎたのではなかったか。彼は土橋に対して1つストライクが入っただけで四球を与え、プライドも自信もズタズタといった様子を露骨に見せてベンチへ下がった。心の傷は果たして大丈夫なのだろうか。すぐさま葛西を救援させたのだから、ミラーを飛ばしてワンテンポ早く葛西で良かったような気がする。

 もう1つは、葛西と同時に和田を二塁で起用した用兵。これは守備を固める意味合いではなく、代打で一発勝負させるより、試合の流れの中になじませて、9回の打席に生かそうとしたねらいがあったのだろう。実際、和田は9回、先頭で右前打を放ち、その役目は十分に果たしている。良く言えば、防戦の中で攻撃を見据えた用兵と評価はできるものの、論理的かどうか、と言われればいささかの疑問は残るのだ。

 草野球まがいのプレーは出なかったが、1点差は詰まらずに5連敗。すべてが空転した試合後は、ありがたいはずのファンから大量のメガホンがグラウンドへ投げ込まれた。

(編集委員)


2000年5月19日付紙面掲載 
Home