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阪神 9―6 広島 (5月5日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

反省点多い逆転脱出劇

バッテリーに呼吸の乱れ

 連勝も連敗もやがてはどこかで途切れる日がやって来る。それがごく普通の法則というものだ。6連敗中の阪神と4連敗中の広島。引き分けない限り、どちらかのチームが、ドロ沼からはい出ることができる戦いは、うれしいことに阪神が粘って逆転勝ちを収めた。

 5―6で迎えた9回、広島のマウンドはそれまで常にリードを保って来た佐々岡から河野に代わる。先頭打者は新庄。ここまですでに3安打を放っている3番打者は、2―1と追い込まれながら、外角球をしたたかに右中間へ打ち返した。それまでの4打席、打球方向はすべて左。引っ張り専門だった新庄が、土壇場でコースに逆らわないしなやかな打撃をして、反撃機を作った。

 1死後、切り札として残しておいた代打和田が起用される。彼も新庄同様に2―1と追い込まれた。右ねらいでコツンと打ち返す和田らしい打撃をされるとイヤな場面だけに、河野は内角勝負に出て来た。和田はそれを読みきっていたのだ。潔さを感じるほどの引っ張りで、左翼頭上を越えていく同点二塁打。新庄と和田の2人の打者が、相手の出方を読んで、持ち味とはあえて逆のバッティングをして、阪神は最後の最後でやっと広島を捕らえたのだった。

 矢野がつなぎ、2死後、今度は平尾が三塁線突破の二塁打で、長い攻防の中で初めて逆転に成功するのだが、平尾は8回には1死一塁に走者を置いた打席で、2―1からアッケない見逃し三振を喫している。開幕当初の勢いは消え、しかもセカンドが守れる新外国人ハートキーが、背後から迫って来る。そんな危機的状況の中でみじんもしぶとさのない見逃し三振は、決定的な“敗因”になるおそれさえあった。そういう意味では、気持ちが打たせた殊勲打だったかもしれない。

 今季初の逆転によるめでたい脱出劇ではあったにしても、問題点は幾つも転がっていた。先発藪の崩れは、これまでなかったバッテリー間の呼吸の乱れだったし、3、4回の得点(計3点)などは、広島の内野陣がまずい守りを繰り返して恵んでくれたようなものだった。主砲のタラスコ、大豊のバットからは相変わらず快音は響かない。とはいえ、そんな中でも勝利はつかめたのだ。まず喜んで、次に改善…本日ぐらいはそれでいいではないか。

(編集委員)


2000年5月6日付紙面掲載 
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