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横浜 5―0 阪神 (5月3日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

大観衆裏切る覇気ないプレー

吉野の「攻めの投球」だけが救い

 5万5000人が応援に駆けつけてくれた中で、阪神はまた9個の「0」をスコアボードにズラリと並べた。9回2死から今岡が三塁線を破る(二塁打)。この試合、すでに2安打を放っている田中がせめて一矢を報いてくれないか、というささやかな望みで甲子園は沸いたが、センターへのライナーは波留のグラブに吸い込まれて行った。

 横浜の小宮山はカーブにシュート、スライダーを抜群の制球力でコーナーに散らす。その精密な投球に、阪神打線が火を噴くことはなかった。合計5点のビハインドは、永遠に乗り越えられそうにない“壁”として、阪神の前にそそり立っていた。

 打線のふがいなさが、5連敗の大いなる要因だとしても、左腕ラミレズはどうして横浜の左打者にこうも打ち込まれたのだろうか。右打者には11打数3安打なのに、相性が良いはずの左打者には12打数5安打。石井琢、鈴木尚、駒田、佐伯の4人全員にヒットを打たれ、6回投げて5失点。2回、右中間に先制2ランを飛ばした駒田が「内角をねらったはずの直球がスライドして真ん中へ入ってきた」と話したが、球の回転の微妙な悪さが、ラミレズの球を勝負所で甘いコースへおびき寄せたわけか。

 ところで、勝敗はともかく阪神は5万5000人の声援に応えるプレーができたか。5点目は坪井のエラーでもぎ取られているが、これは実際には中継に入ったショート田中が雑な処理をして球をそらしたものだ。彼は7回にも谷繁のゴロを捕り損なっている(記録は安打)。記者席にいたかつての名ショート吉田義男さんが珍しく「後輩のショートやけど、恥ずかしいわ」と吐き捨てるようになじったプレー。阪神でNO.1のファイターが、そのよりどころの闘志を隠してしまっては、大観衆に申し訳ないというものだ。

 そんな中で、わずかな救いは3番手で敗戦処理の登板をしたルーキー吉野の投球だった。8回1死満塁とされ、駒田、佐伯にいずれも1―3までなりながら、勇気をふり絞って攻め、連続三振に仕留めている。目立たなくても気持ちのこもった仕事だった。

 大観衆の応援に応えられる気持ちのこもったプレー。華々しい結果だけを追いかけるより、せめてその1点に絞ってみんなで戦うことが、今の阪神には大切なのかもしれない。

(編集委員)


2000年5月4日付紙面掲載 
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