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中日 4―3 阪神 (4月28日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

“虎の穴”は8回にあり!?

先発、抑えは「安定」川藤さん

 10連勝は手を伸ばせば届く所にあった。7回が終わって3―2。しぶとく先取点をあげたし、新庄の2ランも飛び出した。攻守ともスキのない野球は、これまで競り勝ちしてきたのと同じ形だった。

 が、8回を境に激変した試合の流れは、阪神にもう戻っては来なかった。8回に同点に追いつかれ、9回は1死後、大西の一塁前バントを大豊が悪送球して二塁まで取られる。李の右前ポテンヒットは、本塁への送球を焦って前進し過ぎたタラスコの頭上をワンバウンドでフワリと越えて行った。あれほど堅かった守りが乱れて、サヨナラ負け…。

 実は1点差で8回を迎えた時、少し胸騒ぎはしていたのだ。「もし阪神に“穴”があるとしたら、どこか分かるか?」。試合前の食堂で、浪速の春団治・川藤幸三さんが問いかけてきた。絶好調の投手陣を軸に、スキを見せない競り勝つ野球が全開の阪神に、果たして明確な弱点があるのか。「それはな、8回や。先発投手陣は安定し切ってるやろ。7回までは十分に持つ。さらに抑えのミラーは9回1イニングやったら、ドンと来いという感じやないか。となると8回、このイニングをいかにして切り抜けるか。勝ちパターンになった時、そこが問題になると思うんや」。

 そんな話をしていたら、案の定湯舟が7回2死まで取って降板する。その7回のピンチは川尻が鮮やかに切り抜けた。しかし、8回1死一塁で、打者ゴメスの3球目に一塁走者立浪が二盗を企ててきた。モーションを盗まれており、二塁は送球しても間に合わないタイミングに見えた。これを矢野があわてて悪送球してしまう。三塁まで陥れられ、渡辺に前進守備のショート横を抜ける同点打を浴びたのだった。

 野球に「もし」などあり得ないだろうが、もし矢野が自重していたならば、渡辺の打球はショートゴロで終わっていた…かもしれない。この日も好リード(実際湯舟の130キロ前後のシュート、スライダー、フォークの配合は中日打線を十分に幻惑した)をしたし、6回の勝ち越し点の足場も作った矢野だったが、1つの悪送球が、確かに試合の流れを変えてしまった。

 阪神の「8回」…。エアポケットに入らないためには、随分基本的なことながら、とにかく守りを固めることしかないというわけか。

(編集委員)


2000年4月29日付紙面掲載 
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