|
阪神 5―2 巨人 (4月20日)
| ||||||
連載目次 |
中西太さん3タテ予想ピタリ「陽動作戦にキリキリ舞いしてる」「な、言うた通りになったやろ」。藪から遠山、ミラーと石橋をたたいて渡るような継投で、阪神が逃げ切る。破竹の6連勝を見届けると、中西太さんは少し得意げにそう言った。実は試合前、顔をあわすなり「今日の結果は見えてるぞ。阪神の陽動作戦に巨人はキリキリ舞いしてるやないか。阪神は3連勝しよる」と“予言”したのだ。陽動作戦めいたものはこの日に限っては特別にはなかったが、先行逃げ切りの必勝パターンで、また巨人をやっつけた。 敵地で巨人に3連勝というのは、1988年5月以来のことだ。これしきのことが、干支(えと)が一巡りする間できなかったというのは、どこかわびしい気持ちもするけれど、ともかく痛快な慶事には違いない。 巨人の力信仰を打ち砕いた勝利だった。ポイントになった選手は平尾。1回も2回も彼のバットが、阪神に得点を呼び込んでいる。1回は1死後、内野安打して出塁、タラスコ四球でチャンスを膨らませ、大豊が中前へ先制打した。2回は2死満塁で平尾が走者一掃の中越え二塁打。地味な2番打者がヒーローの座を射止めたのだった。 ところで平尾は、昨年の巨人戦には2試合に出場しただけ。巨人戦の打席は「1」だ。阪神全体では978打席あったから、巨人側からは「978分の1」の選手と見くびられていたはずだ。今季は正選手になってほぼフル出場しているが、巨人戦ではこの日まで15打数1安打と悲惨な数字だった。当然、巨人投手陣には力で押さえ込める存在として軽視されていたことだろう。 1回は140キロ、141キロ、140キロの直球が3つ続き、その3球目を内野安打。2回は変化球も交ざったが5球目の140キロの外角寄りの直球を痛打した。桑田の力ずくの投球を見越して、速い球にマトを絞って打ちこなした。「978分の1」の選手であっても、知恵とパッションがあれば、主役の働きができる。平尾はまぶしいほどに輝いていた。 6連勝中、エラーは1つ。野選が2つに、暴投が1あるが、野選は前向きなミスと言えるし、この日の藪の暴投は松井を三振に仕留めた球が変化し過ぎたものだ。守りのミスを排除して、攻めては非力な者が工夫を凝らして力の差を埋めて行く。巨人戦3連勝は本当に、あらかじめ決まっていたのかもしれなかった。 (編集委員)
|
|||||
|
2000年4月21日付紙面掲載 | ||||||
|
| ||||||
|
| ||||||
|
||||||