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阪神 5―0 巨人 (4月18日)


2000年の戦い
井関真


連載目次

「心理戦」で巨人を圧倒!!

工藤のスキついて重盗

 9回裏の守りも、1回と同じ顔触れだった。福原がプロ初完封をやってのけた試合は、阪神では極めて珍しい出場選手9人でまかなうナイス・ゲーム。今の巨人相手なら9人で十分といった風情で4連勝を飾り、勝率5割にこぎつけた。

 勝利は試合が始まってすぐ、工藤が5球目を投げ込んだ時に決まっていた? 坪井がこの日も、その球を中前安打したのだ。4連勝を達成する間、坪井は全試合で初回先頭打者安打を記録している。今季14試合で14打数7安打。立ち上がりの先頭打者安打がどれだけチームを元気付けることか。彼が初回にヒットを飛ばした試合は、これで5勝2敗だ。

 いや、別に元気付けるだけではない。相手投手にも相当の心理的ダメージを与えるはずなのだ。初回は点にならなかったが、3回その坪井効果が表れる。先頭田中が安打、福原がバントで1死二塁。工藤は好調な坪井をやたら警戒して、1―0から内角の厳しいコースをねらい、死球にしたのだった。

 一、二塁で平尾。工藤はカーブを2球続けて0―2に。普通なら直球でカウントを整えるケースだから、まず走って来ることはない、と工藤は考えたことだろう。だが、阪神はここであえて重盗を敢行した。左腕はセットポジションに入ると、二塁走者のリードする位置が後頭部になる。つまり右投手なら視野の端っこで、走者のリードを“押さえられる”が、左腕はそうはいかない。この決定的に有利な点(12日の巨人戦でも投手メイの時に重盗をした)と、0―2になって工藤の警戒心にスキ間ができることを計算した作戦だった。

 重盗は大成功を収める。捕手村田善が坪井を刺しに二塁へ送った球が逸れ、田中が先制のホームを踏んだのだ。坪井への警戒心と、重盗への無防備…。工藤の心理のアヤをついて、阪神は早々と“決勝点”を奪ったのだった。

 そう言えば、4回の矢野の2ランも読み勝ちだった。2回は内角球(140キロ)に押されて右飛。4回の打席でも初球にセーフティーバントを試みた姿勢は、工藤には弱々しく映ったはずだ。が、2―1から内角球をねらいすまし、141キロの高め直球を左翼席へ放り込んだ。東京ドームの巨人との2000年初戦は、心理戦で圧倒した阪神の大勝利となった。

(編集委員)


2000年4月19日付紙面掲載 
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