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阪神 3―1 巨人(8月29日)


2000年の戦い
評論家が
徹底分析
広瀬叔功


連載目次

V打は坪井の“読み勝ち”

完全に絞り切った岡島のカーブ

 同点の9回だった。矢野右前打、塩谷が巨人の意表をつくバスターで左前打を打って無死一、二塁。代打山田は0―3から3球続けて直球を見逃して三振、同じく代打の八木も遊飛に倒れたが、坪井が山田の三振を“教材”にして、決勝の2点二塁打を右中間に飛ばした。

 広瀬叔功(日刊スポーツ評論家)「岡島という投手は捕手を見ないで投げるやろ。目で見てコントロールをつけるのではなく、体の感覚でストライクゾーンへ投げ込むという特殊なピッチャーやと思うで。山田の時は3ボールの後、直球でストライクを取る感覚をつかんだ。それが打者が左の坪井になると、今度は直球が外れ、カーブだけしかストライクにならなくなった。3つのボールは全部直球、2つのストライクはともにカーブでフルカウントに。ここで坪井は、カーブにヤマを張った。とにかく岡島はカーブしかストライクゾーンへ投げられないんやからな。狙いを完全に絞って、真ん中へ入ってきたカーブを打ったわけや。ノムやんが率いるチームらしい読み勝ちのバッティングやった。坪井は頭がエエんやな」

 実は9回までは、野村阪神のマトの絞り方はチグハグ。新庄ら4度の見逃し三振があったが、それはことごとく変化球を狙って直球を投げ込まれ、手が出なかったものだ。それが最後の最後で的中。巨人に快勝の要因となった。もっとも、競り合いを制した最大の要素は、先発ハンセルからつないでいった得意の必勝継投だった。

 広瀬叔功「ハンセルは4回に高橋由にホームランされたやろ。高橋というバッターは、初球から何でも打ってくる超積極派で、配球で伏線を張ったりすることができない。ノムやんが苦手にするバッターやね。それはともかく、ハンセルは一発を浴びて以降、抑えていたとはいえ、急に腕の振りが鈍くなっていた。巨人の長打力にナーバスになって、上体で球をコントロールしようとしてたわけや。そこを憎たらしいほど、ノムやんは冷静に見とった、と思うよ。6回から1イニングずつ西川、伊藤、遠山、葛西とつないでいった。5回まで1失点のハンセルから西川へ継投した決断。投打にわたる読み勝ちやったんと違うかな。もちろん、そういう使い方ができる投手陣の質量があるからやけど、確かにうまいこと使い切ってるわなあ」

(構成=井関真編集委員)


2000年8月30日付紙面掲載 
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